海上運賃の上昇について

昨年の後半から海上運賃の上昇が話題です。我々が主に影響を受けるのは外国航路の定期コンテナ船です。タンカーやバルク船、専用船などは含んでおりません。

海上運賃の上昇要因の一つは、コロナの影響による輸出と輸入の不均衡によるコンテナの滞留です。

平時には輸出で港を出るコンテナと輸入で港に入るコンテナはある程度の均衡が保たれており、貿易活動の中で随時調整されております。昨年発生したコロナウイルスにより中国の出荷に比べてその他の国の出荷が激減し、その均衡が大きく崩れました。結果、中国では出荷用のコンテナが不足し、その他の国では空のコンテナが滞留しました。

比較的変動の少なかった海上運賃ですが、中国発の貨物では不足しているコンテナを確保するため運賃が上昇に転じました。

二つ目の要因は、海上コンテナは世界的に数社あるコンテナリース会社を通して各船社へ貸し出されており、そのリース料が上昇しているということです。

海上コンテナは各船社の持ち物ではなくコンテナリース会社からリースされたものです。各船社は大量のコンテナを複数年契約で借りており、リース会社は契約ごとに出資者を募って(※)運営しております。

※詳しくはオペレーションリースで検索してください

大量のコンテナを複数年貸し出すということで運営には巨大な資本が必要であり、コンテナリース業界は寡占状態にあります。各リース会社では出資者の利益を最大化するため、コンテナ不足の状況下ではリース料の値上げを行います。

運賃が高い状況で推移している事に変わりはありませんが、実務的には上昇一辺倒ではありませんで、日々上下しております。弊社にも”運賃について通常はETDのところ現状ではATDベースになります”と案内が届きました。

ETD、ATDについては、

〇ETD → Estimate Time of Departure → 予定出発時間

〇ATD → Actual Time of Departure → 実出発時間

といった意味です。

通常はETD(≒予約した時点で運賃確定)ですが、現状はATD(≒実際の出発時間で確定≒出発してみないと運賃が確定しません)という事ですね。以前のブログにも書きましたが、船舶のスケジュールはあくまで予定です。実際の入出港は天候や港の混み具合などで常に数日程度変動しており(もちろんスケジュール通りの場合もあります)、現状では運賃の変動が激しいので実際に出港した時間によって運賃を確定しますという案内です。フォワーダーさんも対応に大変な様子が伺えます。

また、配送に関しては港湾の諸経費・各種チャージなども追加されるため必ずしも海上運賃=運送費用という訳ではありません。

構造の問題なので長期化するという見方と、一時的な動きなので春節明けから徐々に落ち着くという見方があるようですがどうなりますか、引き続き注視してまいります。