石は無くなるのか?その4

お盆が過ぎて北海道らしくない暑さもようやく抜けました。出没していた熊も来た方向へ去っていったようで一安心です。石の話の続きです。

前回ご紹介した3つのうちの1つ、

○採掘免許(更新)の停止

について、ここでは採掘元の意図しない停止を想定します。※意図する停止は廃業ですね、そのほとんどは採算が理由で停止になるものと思います

採石免許の発行権者は主に地方の行政でして、行政が何らかの事情により採掘を許可しない事があります。

石材丁場では原石を取り出すために様々な大型機械が動いております。そのため安全対策や騒音対策、それに自然環境への負荷を軽減する対策などを施さなければなりません。一つ一つの対策がクリアされていなければ行政としては採掘を許可できないという事になります。

丁場では採掘に伴い刻々とその姿が変わります。採掘口が増えたり(もちろん免許をとって)、深くなったり。形を変えていく丁場に対しては安全対策の更新が求められます。

また、基本的には人家の少ない場所が選定されますが、道路や橋、電気、水道などのインフラが整備されている(人家に近い)方が出荷に有利でして、生活への影響が大きくない程度には市街に近いという事になる様です。近さについては様々ですが一般的に古い丁場ほど市街に近い傾向があります。操業を続けていると丁場が拡大して市街地に近づいたり、市街地が拡大して丁場に近づいてしまう事があります。そうすると安全管理や騒音対策なども従来以上の厳しさを求められることになり行政が許可を出す基準も厳しくなります。

そもそも市街地と隣接するということはそこで住宅を建てる需要が有るという事でして、行政としては丁場(露出した岩肌の土地)として許可するよりも市街地として使いたい(+税収増)という思惑が働くようです。

※行政の判断基準については国や地域によって様々です

という事で、丁場が発展するほど周辺も発展して(しまい?)、徐々に丁場の操業が厳しい状況になってしまう、或いは丁場が発展しない(広がらない )という事は採算の問題で廃業してしまう確率が高い(※丁場は原石を掘るしかないので)というなんとも難しい状況です。

それを防ぐには計画的な開発が必要になってきますが、いかんせん石材は天然資源でして、計画で想定する区域において必ずしも想定した埋蔵量や品質の原石が安定的に採掘できるとは限りません。むしろ条件に合う品質(原石になる材料)は山から採取した量の二~三割程度ということも(丁場によっては一割を切る事も!)あります。

※世界の丁場においては計画的な開発、安定操業を実現している丁場も有ります、好条件を慎重に選定できる状況であったということと思います

石山をみて、どれくらいの量どのような品質の原石をどういうコストで出荷するのか、その判断を経験と長年の勘で行うのがいわゆる山(石)屋、山師の所以ですね。もちろん現代では機械的な地質調査をもとにして開発を判断しています。こちらは鉱山技師さんの領分でしょうか。

すこし話がそれましたが、丁場の停止理由のなかから免許に関わる要素についてざっくりとご紹介させて頂きました。

次回は停止理由のその2、

○採石コストの増加

についてです。